
離婚の際に家庭裁判所の調停で夫から養育費を支払ってもらうことに合意しました。しかし、離婚後に養育費は支払われていません。家庭裁判所に履行勧告をしてもらいましたが、支払ってもらえませんでした。強制執行をしたいと考えていますが、どのようにすればよいでしょうか。

養育費の支払いについて調停や審判で定めている場合は、家庭裁判所の履行勧告、履行命令を利用することができますが、履行勧告、履行命令を利用しても養育費を支払ってもらえないときは、相手の給料などを差し押さえる強制執行をすることになります。
強制執行をするには
強制執行をするには債務名義を持っていることが必要です。債務名義とは請求権(養育費)の存在を明らかにした公の文書のことをいいます。債務名義には確定判決や調停調書、強制執行認諾約款付公正証書(執行証書)などがあります。
養育費の支払いについて口約束であったり、夫婦間で文書にしただけでは強制執行をすることはできません。このようなときは、家庭裁判所に養育費の支払いを求める調停を申し立てます。
強制執行をするには、債務名義に執行文が付与されている必要があります。執行文とは、債務名義に記載されている債権が存在し、強制執行できる効力を持っていることを公に証明する文書のことをいいます。
債務名義に執行文を付与するのは執行証書以外の債務名義については事件の記録のある裁判所の裁判所書記官が付与します。執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与します。
強制執行を開始するには、債務名義の製本又は謄本があらかじめ又は同時に債務者に送達されていなければなりません。
給料を差し押さえるための強制執行は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。
申し立てに必要な書類
- 申立書
- 執行力ある債務名義の正本
- 債務名義の送達証明書
- 給料を差し押さえる会社の登記簿謄本(資格証明書)
- 目録(当事者目録、請求債権目録、差押債権目録)
強制執行の申し立てが適法であれば、裁判所は差押命令が債務者及び第三債務者に送達されます。差押命令では債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、第三債務者に対し債務者への弁済が禁止されます。差し押さえの効力は差押命令が第三債務者に送達されたときに生じます。
差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、債権者自ら差し押さえた債権を取り立てることができます。また、第三債務者から支払いを受けたときは取立届を裁判所に届け出なければなりません。
扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例
養育費などの確定期限の定めのある定期金債権の一部が不履行になっているときは、まだ期限が到来していないものについても一括して給料など継続的に給付される債権に対して差し押さえることができます。
また、養育費などの扶養義務についての定期金債権を請求するときは、給料債権等について差し押さえが禁止されるのは給付の2分の1に相当する部分となります。
ただし、税金と社会保険料を控除した後の給料額の2分の1の額が33万円を超えるときは、33万円について差押が禁止されます。
